SNSでは、共感できる意見が続けて目に入ることがあります。しかし、自分の画面で何度も見た意見が、社会全体の多数派とは限りません。SNSを楽しみながら情報を確かめるために、二つの教訓を整理します。
教訓1:似た意見が集まる場所を、世論全体と思わない
エコーチェンバーとは、似た考えの人同士で情報が行き交い、共通の見方が繰り返される状況を指します。Cinelliら(2021)は、複数のSNSで議論のある話題の投稿を比較し、似た立場の人の集まりや情報の広がりを分析しました。傾向はプラットフォームによって異なります。論文
この研究から、すべての利用者が同じように偏る、あるいはSNSを見るだけで必ず極端な考えになるとは言えません。誰をフォローするか、自分で何を探すか、どの情報を共有するかも、見える範囲に関わります。
確認例:口コミを10件見たとき
架空の例として、ある教材を「良かった」と評価する投稿を10件見たとします。10人が独立に使った感想なのか、同じ紹介記事を引用しているのかで、情報の意味は変わります。件数だけでなく、元の情報が何個あるかも確認します。
不満の声を探すときも、同じ条件を使います。利用目的、期間、費用、経験の違いを見ます。賛否を半分ずつ集めることより、双方の根拠を同じ基準で読むことが大切です。
教訓2:反応が多いことと、正しいことを分ける
Rathjeら(2021)は米国の政治家やニュースメディアのFacebook・Twitter投稿を分析し、政治的な相手集団に言及する表現と共有の多さとの関連を報告しています。政治的文脈での結果であり、あらゆる話題で攻撃的な投稿ほど必ず伸びるという法則ではありません。論文全文
反応には、賛同だけでなく反論や驚きも含まれます。たくさん共有されたこと自体は、内容を確かめた証拠にはなりません。旧版の「平和な画像は伸びない」という断定も、根拠が十分でないため見直しました。
主語を小さくして読み直す
「最近の若者は」「あの職業の人は」といった投稿を見たら、実際に示されている事例がどの範囲かを確かめます。一人の出来事から集団全体の特徴へ話が広がっていないか、投稿の主張と証拠を分けます。
筆者は、誰にでも貼れるラベルが、話し合う前から相手を決めつける材料になりうる点を気にしています。人の性格を推測し合うより、問題になっている行動や条件を具体的に話したいと考えます。
共有する前の4行メモ
次は、記事用に作った確認用の書式です。すべての投稿で長く調べるのが難しい場合でも、影響の大きい情報や、自分が誰かに勧める情報で使ってみてください。
① 主張:何が起きたと言っているか。
② 元資料:誰が、いつ発表した情報か。
③ 対象:どの国・人・条件の話か。
④ 不明点:元資料だけでは分からないことは何か。
元資料にたどれない場合は、分からないまま拡散せず、共有を保留する選択もあります。自分の考えに合う投稿ほど、この確認を省いていないか点検します。確証バイアスの記事もあわせて読めます。
安心できる使い方を、自分で調整する
調べること自体に疲れたら、画面を閉じる、通知を止める、見る時間を決めるなどの方法もあります。SNSをやめるか使い続けるかの二択にせず、自分が情報を扱える範囲に調整していきましょう。


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