筆者はお化け屋敷が苦手です。だからこそ、「なぜお金を払って怖い思いをしに行くのか」が気になります。この記事は筆者の体験レポートではなく、研究を手がかりにその疑問を考える記事です。
「怖い」と「楽しい」は同時に起こりうる
恐怖を感じる体験が、いつも不快だけで終わるとは限りません。Andersenら(2020)のホラー施設でのフィールド研究は、来場者の恐怖と楽しさ、心拍などの関係を調べています。恐怖と楽しさには逆U字型の関係が見られ、強ければ強いほど楽しいという単純な関係ではありませんでした。論文情報

ただし、ホラー施設に来た人を調べた結果です。もともと苦手で来場しない人も含めて、誰にでも中程度の恐怖が楽しいと確認したわけではありません。また、全員に共通する「ちょうどよい怖さ」を数値で決められる研究でもありません。
筆者が考える鍵は、怖さを選べること
ここからは研究結果そのものではなく、筆者の考察です。演出だと理解できること、参加を自分で選べること、負担が強ければやめられることが、楽しめる条件になるのではないかと考えます。
同じ暗い通路でも、自分で入ったときと、無理に連れて行かれたときでは受け取り方が違うはずです。「安全な施設だから怖くないはず」と説明するだけでは、本人が感じる怖さはなくなりません。
「怖さを楽しめる人」と比べなくてよい
同行者が楽しんでいても、自分まで楽しめる必要はありません。大きな音、暗さ、追いかけられる演出など、苦手な要素は人によって違います。怖いものを楽しめるかどうかを、勇気や性格の優劣に結びつけないようにしたいところです。
筆者のように入らない選択をしても、入口で待つ、別の体験を一緒に選ぶなど、その場の楽しみ方はあります。無理に克服する課題として扱う必要はありません。
誘う前に確認する3つの問い
以下は同行者と相談するために作った確認例です。
① 苦手なのは、暗さ・音・接触・追いかけられる演出のどれか。
② 公式案内に、利用条件や途中退出の方法があるか。
③ 参加しない場合、待ち合わせや別行動をどうするか。
「怖いのは平気?」と一括りにするより、苦手な要素を分けると話しやすくなります。実際の利用条件や安全上の注意は、その施設の最新の案内に従ってください。
研究から、日常の問いへ戻る
この話で面白いのは、感情を「良い・悪い」の一つに分類しきれないことです。怖さの中に楽しさがある人も、負担の方が大きい人もいます。私は、自分が苦手だからこそ、他人の楽しさの条件を決めつけずに聞いてみたいと思いました。
旧版の、野生動物に武器で立ち向かう仮定から恐怖の進化を説明する部分は削除しました。娯楽施設での研究を、実際の危険への対処法や生存本能の証明に広げることはできません。
感情を判断の材料として扱う方法は、論理と感情を整理する3つの問いにもまとめています。


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