就職活動を始めたころ、筆者は「論理的に考える力が必要」とよく言われました。ただ、必要だと言われるだけでは、どこを直せばよいのか分かりません。ここでは、頭の中の考えを他者が確かめられる形にするための、4つの練習を紹介します。
論理的思考は、根拠と結論のつながりを確かめること
「筋道を立てて考える」とは、何を前提にし、その前提からなぜその結論が出るのかを説明できることです。相手を言い負かすことや、感情を消すこととは違います。目的や前提が違えば、論理的に考えても結論は分かれます。
具体例:予算10万円で旅行案を比較する
説明用の架空の例です。交通費と宿泊費を合わせた予算を1人10万円とし、同じ日程・人数で見積もった結果を、A案8万円、B案9万円、C案15万円とします。実際の旅行料金を示すものではありません。
予算を変更しないなら、C案は条件を超えます。一方、A案とB案のどちらを選ぶかは、移動時間や行きたい場所などにも左右されます。「安い方を選ぶ」と「行きたい場所を優先する」は、どちらも理由を示せます。
旧版では予算が1万円と10万円で混在し、論理的なら同じ結論になると説明していました。金額を統一し、「共通の前提から検討できること」と「全員が同じ好みを持つこと」を分けました。
1.情報を集め、事実と推測を分ける
資料を見るときは、発表した人、時点、対象、元データへのリンクを確認します。「利用者が増えた」という事実から、「満足度が高い」とはまだ言えません。値下げや宣伝など別の理由も考えられます。
メモを「確認した事実」「自分の解釈」「未確認」に分けると、追加で調べる点が見えます。旅行なら「見積もり8万円」は確認した事実、「移動が楽そう」は解釈、「駅からホテルまでの距離」は未確認という具合です。
2.本の結論と、その根拠を取り出す
筆者は本を読むことで、論理的な説明に触れる機会を得たと感じています。ただ、本なら内容が正しいとは限りません。一章読んだら、「著者の結論」「支えている根拠」「当てはまる条件」を各一文で書きます。
要約できなければ、読み返す場所が分かります。単に読書量を増やすより、どの文が何を支えているかを確認する練習として使うのが、ここでの提案です。これは筆者の学び方の提案で、読書だけによる能力向上を保証するものではありません。
3.「なぜそう思う?」で筋道を拾う

筆者は、浮かんだ結論から理由をたどることを「直下掘り」と呼んでいます。学術用語ではなく、自分の考えを言語化するための呼び名です。「A案が良い」→「予算内で移動が少ないから」→「移動が少ないと、休む時間を確保できるから」と書きます。
ただし、理由を後付けするだけにならないように、「どんな条件ならB案を選ぶか」も書きます。反対の可能性を確かめる方法は、確証バイアスを見直す3つの方法でも扱っています。
4.結論への賛否より、伝わった根拠を聞く
相手に説明した後、「私が重視している条件は何だと伝わった?」と聞きます。「賛成?」だけを聞くと、好みの違いと説明不足が混ざってしまいます。相手が「安さだけ」と受け取り、実際は休息時間も重視していたなら、その条件を説明に足します。
相手の話し方をそのまま正解にする必要はありません。自分の前提が伝わったか、根拠に不足があるか、結論への飛躍があるかを別々に確認します。
練習用:事実・解釈・結論の5行メモ
以下は筆者がこの記事用に作った記入例です。正解を採点する検査ではなく、説明の抜けを見つけるために使います。
① 決めたいこと:旅行でA案を選ぶか。
② 確認した事実:同じ条件の見積もりでA案8万円、予算10万円。
③ 重視すること:費用と、休める時間。
④ 結論:移動時間を確認し、十分休めるならA案にする。
⑤ 変える条件:移動が長ければ、予算内のB案も比較する。
最初から整った意見を出そうとせず、まず書き、その後に抜けを直す。筆者が大切にしているのは、この「筋道を拾う」順番です。自分の考えを点検する問いは、メタ認知の5分ワークにもまとめています。


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