「今週こそ勉強しよう」と決めたのに、気づけば週末になっている。やりたい気持ちはあっても、始めるタイミングが決まらず、そのままになることがあります。
If-Thenプランとは、「もしXという状況になったら、Yという行動をする」と、状況と行動を結びつけて決める方法です。心理学では「実行意図(implementation intention)」と呼ばれます。
「勉強を頑張る」から、「夕食の食器を片づけたら、机で問題集を開いて一問解く」へ。目標を持つことに加えて、始める場面を具体的にします。この記事では、作り方と日常の例、実行できなかったときの見直し方を紹介します。
If-Thenプランと目標の違い
目標は「何を達成したいか」を示します。If-Thenプランは、そのために「どの場面で、何をするか」を示します。試験に合格したいという目標があっても、帰宅後に何から始めるかが未定なら、その都度決め直す必要があります。
たとえば「本を月に二冊読みたい」は目標です。「朝食後にコーヒーを机に置いたら、しおりのページから二ページ読む」は実行の計画です。読む量は生活に合わせて変えられますが、合図と行動は、自分で判断できる具体さにしておきます。
GollwitzerとSheeranの2006年のメタ分析では、94の独立した検証をまとめ、実行意図が目標達成を助ける効果を報告しています。[1]ただし、計画を一文書けば誰もが同じ結果を得られる、という意味ではありません。行動できる環境や、目標を達成するための作業量も必要です。
If-Thenプランを作る3つの手順

1.自分で気づける「合図」を選ぶ
「時間があるとき」「やる気が出たら」では、いつ条件が満たされたのか曖昧です。「昼食の食器を下げたら」「電車に座ったら」「机の照明をつけたら」のように、生活の中で気づける出来事を選びます。
合図が来ても行動できない場面は避けましょう。通勤中に教材を開けないほど混むなら、「電車に乗ったら勉強する」よりも、帰宅後の落ち着いた時間のほうが実行しやすいかもしれません。
2.最初の行動を、手が動く大きさにする
「勉強する」だけでは、何を開くか、どこから進めるかが残ります。「問題集のしおりのページを開き、一問解く」のように書きます。
ここで一問にするのは、開始の手順を決めるためです。一問だけで試験対策が十分になるわけではありません。始める計画と、必要な学習量の計画を分けて考えましょう。開始した後に続けられる日は、その日の予定の範囲で進めます。
3.道具を用意し、一つの計画で試す
合図が来るたびに本を探すなら、実行の前に別の作業が増えます。教材、筆記具、取り組むページなどを先に決め、使う場所に置いておきます。
最初から生活のすべてに計画を作るよりも、まず一つの行動で試してみましょう。実行できたかに加え、「合図に気づけたか」「その場で道具を使えたか」を見れば、修正する箇所が分かります。
勉強・読書・仕事で使える具体例
資格勉強:夕食の食器を片づけたら、机で問題集を開き、一問解く。教材は前日に机に置き、次に解く問題にしおりを挟む。
読書:朝のコーヒーを机に置いたら、スマホを見る前に本を二ページ読む。読む本は一冊に決め、机の手が届く場所に置く。
仕事の引き継ぎ:一日の作業を終える前に、明日最初に確認する項目を一行メモする。「続きからやる」ではなく、「資料の三ページ目の数字を元データと照合する」と書く。
これらは日常で試すための例です。生活時間や仕事のルールに合わせて変えてください。共通しているのは、気分だけを合図にせず、何をするかを外から見ても分かる形にすることです。
うまくいかないときは、失敗した場所を分ける
合図に気づかなかった
「帰宅したら」だと、その後の動作が多くて忘れることもあります。「手を洗ってタオルを掛けたら」など、生活の具体的な区切りへ変更してみます。必要なら、その場所に短いメモを置きます。
合図には気づいたが、行動できなかった
夕食後は家事が続く、道具が別の部屋にある、疲れて予定した量に取り組めない。こうした場合は、時間・場所・行動量のどれが合っていなかったかを見ます。一度に全部変えず、一つ変えると、何が実行を助けたかを振り返りやすくなります。
始められたが、目標に近づいていない
本を開くところまではできても、内容が身についていないなら、開始の計画とは別に、勉強の中身を調整する必要があります。「始めた回数」だけでなく、「何を説明できるようになったか」も確かめましょう。
自分の理解を点検する方法は、メタ認知と5分ワークの記事にまとめています。行動を始める工夫と、その行動を振り返る工夫を組み合わせてみてください。
そのまま書けるIf-Thenプランのテンプレート
目標:________
もし【具体的な合図】が来たら、【場所】で【最初の行動】をする。
先に用意するもの:________
実行後に確認すること:合図に気づいたか/行動できたか/何が妨げになったか。
記入例:本の内容を自分の言葉で説明できるようにしたい。もし朝のコーヒーを机に置いたら、その机で本を二ページ読み、閉じて要点を一文書く。前夜に本とメモ用紙を置いておく。
実行できない日があれば、次の機会に試し、必要なら計画を書き直します。予定を守れなかったことだけで自分の意志を評価するより、実際の生活に合う形を探すための記録にしましょう。
やる気について広く整理したい場合は、やる気を引き出す4つのポイントも読めます。まずは今日の一つの目標に、「いつ、どこで、最初に何をするか」を添えてみてください。
本を閉じて要点を思い出す練習は、アクティブリコールのやり方と実践例で詳しく紹介しています。始める合図が決まったら、学習の中身も具体化してみましょう。
参考文献
[1]Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-Analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119. 著者所属大学の論文紹介・本文へのリンク


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