AI時代の思考法|AIは本当に仕事を奪ったのか

AI時代。私たちが生きていくにあたってAIについて耳にしない日は無くなってきました。
AIによって多くの仕事がなくなってしまうというニュースを見るたびに、憂鬱な気持ちになる人も多いと思います。
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン教授によると、AIによって仕事を奪われる割合は47%にも及ぶと言われています。AI改革の影響を受けてほとんどの人は、今までと振る舞い方や働き方を見直していかなければいけません。
私自身もAI時代で辛い思いをしたことも多いです。仕事が無くなるかもしれない。
AIに取られるかもしれないと思いながら働くのは本当に辛いことです。
では、どうしたらAI時代で仕事をしていくことができるのでしょうか。
また、AI時代においてこのサイトではどうすれば生きていきやすくなるのでしょうか。
当サイトでは、「思考」という視点から読んでいる人に情報を提供できればと思っています。
このサイトを読むことによって
- AI時代の中で自らの仕事をもう一度見直すことができる
- AI時代を生き抜く方法を自分で考えることができる
こういった視点を皆さんに提供できるように書いていきます。
AIによって多くの仕事が無くなるは「誇張」
冒頭でも触れましたが、AIによって仕事を奪われるという研究は盛んに行われています。
AIによる時代や雇用の変化は多くの人にとって注目の的です。
ここではAIによって労働がどのように変わっていくのかを見ていければと思います。
これから49パーセントの仕事が無くなると言われていた
オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイ氏とマイケル・A・オズボーン氏は、2013年の研究『The Future of Employment』で、コンピューター化・自動化によって、どの職業がどれくらい代替されやすいかを分析しました。対象はアメリカの702職種です。研究では、機械学習などの技術発展を前提に、各職業が将来的に自動化される可能性を推定しました。
最も大きな衝撃を与えたのは、アメリカの雇用全体の約47%が「高リスク」に分類されたという結果です。ここで高リスクとは、「今すぐ仕事が消える」という意味ではなく、今後10〜20年程度のうちに、技術的には自動化される可能性が高い職業を指します。

無くなる仕事と残る仕事
高リスクとされたのは、主に輸送・物流、事務・管理補助、生産関連、販売、サービス業の一部です。たとえば、運転業務、データ入力、単純な事務処理、レジ業務、テレマーケティングなどは、AIやロボット、ビッグデータ処理によって代替されやすいとされました。
一方で、創造性、対人コミュニケーション、複雑な判断、細かな身体操作が必要な仕事は、自動化されにくいとされています。
たとえば、法律家そのものは低リスクに分類される一方で、パラリーガルや法務助手のような調査・資料整理業務は高リスクに分類されています。つまり、職業全体が消えるというより、仕事の中の一部の作業がAIに置き換わるという見方が重要です。
また、この研究では、賃金や学歴が高い職業ほど自動化リスクが低い傾向があるとも指摘されています。逆に、低賃金・低スキルとされる職業ほど、自動化の影響を受けやすい傾向が示されました。
つまり、AIによって仕事が奪われるかはその仕事の業界や職種にかなり依存しているということが分かります。
AIの導入は思ったよりゆっくり→雇用もそこまで変化なし
先ほどの研究は2013年のものです。では、10年以上経った今、雇用はどうなっているのでしょうか。労働力調査を元に考えてみましょう。
日本全体の雇用統計を見ると、AI普及後も失業率が大きく悪化したとは言えません。総務省の労働力調査では、2025年平均の完全失業率は2.5%で前年と同率、完全失業者数も176万人で前年と同数でした。さらに、就業者数は6828万人で前年より47万人増加しています。つまり、少なくともマクロ統計上は、AIによって日本全体の雇用が大きく失われたとは確認できません。
「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)平均結果の要約」より
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf
AI導入後、急速に仕事がなくなっているかと思ったら、実はそんなこともありません。
確かにAIによって仕事は無くなっていきますが、当初想定していたよりも緩やかなことが分かります。
ではなぜAI導入が想定よりも遅れているのでしょうか。
2つの理由を見てみましょう。
→AI導入にも人手が必要
実は、AI導入コストはかなり高いんですよね。
金銭的にはもちろんですが、その職場にとって最適な方法で導入するのはかなり難しいです。
知見が必要ですし、そのような人材が社内にいないという会社も多いです。
AIを導入するためにも人手が必要だということが分かります。
日本はAI普及率において諸外国より遅れをとっているのも要因ですが、それでもAI導入のコストはかなり低く見積もられていたというのが私の所感です。
AIは大変便利ですが、決して万能ツールではありません。
少なくとも手放しで仕事を成し得るほどはまだ成長しておりません。
AI時代に叫ばれるリスキリング
AI時代になって、多くの人が自分の仕事が「生涯続けられるものなのか」を考えるようになってきました。
それに伴ってリスキリングをしようという流れが個人でも会社でも起きてきました。
しかし、リスキリングについて
リスキリングとは「変化に対応するための学び直し」のこと
リスキリングとは、今の仕事やこれからの仕事に必要なスキルを、新しく学び直すことです。
単に勉強をすることではなく、社会や仕事の変化に合わせて、自分の働き方をアップデートするための学びと言えます。
特に近年は、AIやロボット、デジタル技術の発展によって、これまで人間が行っていた作業の一部が機械に置き換わるようになってきました。
そのような変化の中で重要になるのが、リスキリングです。
AIに仕事を奪われないようにするというより、AIを使う側に回るために、新しい知識やスキルを身につけることが大切になります。
たとえば、これまで事務作業をしていた人が、AIツールの使い方やデータ分析、業務改善の考え方を学ぶ。営業職の人が、CRMやマーケティングツールを使いこなせるようになる。こうした学び直しが、リスキリングにあたります。
つまりリスキリングとは、時代の変化に合わせて、自分の仕事の価値を保つための学び直しなのです。
AIに取られる仕事の共通点は「決まった手順で繰り返す仕事」
AIに取られやすい仕事には、共通点があります。
それは、「決まった手順で繰り返す」仕事です。

たとえば、データ入力、単純な事務処理、レジ業務、テレマーケティング、工場での一部の作業などは、同じような判断や動作を繰り返すことが多い仕事です。
このような仕事は、ルール化しやすく、AIやロボットに置き換えられやすい傾向があります。
(先ほどの研究でも上げましたね。)
AIは、大量の情報を処理したり、パターンを見つけたり、決まった作業を高速で繰り返したりすることが得意です。そのため、「毎回ほとんど同じ流れで進む仕事」や「判断基準が明確な仕事」は、自動化の対象になりやすいです。
一方で、人との信頼関係を築く仕事、状況に応じて柔軟に判断する仕事、新しいアイデアを生み出す仕事は、AIに置き換えられにくいと考えられます。
たとえば、相手の気持ちを読み取るコミュニケーション、複雑な問題を整理する力、まだ正解のない課題に向き合う力などは、人間の強みが発揮されやすい部分です。
つまり、AIに取られやすい仕事とは、単に「楽な仕事」ではありません。
逆に言うと、難しい仕事でもAIに取って代わられてしまうことはあるということです。
重要なのは、その仕事がどれだけ手順化・自動化しやすいかです。
国や政府がリスキリングを斡旋している
リスキリングは、個人が自分の意思だけで行う学び直しではなく、国単位でも重要な政策として進められています。
日本政府は、AIやデジタル技術の発展によって働き方が大きく変わる中で、成長分野へ人材が移動できるように、リスキリング支援を強化しています。実際に政府は「人への投資」として、リスキリングなどの支援を5年間で1兆円規模に拡充する方針を示しています。
また、日本だけでなく諸外国でもリスキリングの波は
雇用の形を超えて巻き起こっています。
たとえばシンガポールでは、政府主導の「SkillsFuture」という全国的な取り組みがあります。これは、国民が生涯にわたって学び続け、変化する経済に対応できるようにする制度です。
EUでも、欧州委員会が「Pact for Skills」を進めています。これは、公的機関、企業、労働者団体、教育機関などが連携し、成人のアップスキリングとリスキリングに具体的に取り組むための枠組みです。
アメリカでも、AI人材の育成に向けた取り組みが進んでいます。米国労働省は2026年4月、AIスキルの習得やAI分野の登録型アプレンティスシップを広げるためのポータルを立ち上げました。

それだけリスキリングはAI時代を生き抜く策として重要視されているということですね。
リスキリングが難しい職種もある
ただし、リスキリングは誰にとっても簡単なものではありません。
特に、仕事の内容が大きく変わりやすい職種や、長年同じ作業を中心にしてきた職種では、新しいスキルを身につける負担が大きくなることがあります。
たとえば、単純作業が中心の仕事から、急にAIツールやデータ分析を使う仕事に移るのは簡単ではありません。必要な知識が大きく変わるため、学び直しに時間がかかります。
また、体を使う仕事をしてきた人が、いきなりパソコン中心の仕事に移る場合も、慣れるまでに大きな負担を感じる可能性があります。リスキリングが難しい理由は、本人の努力不足だけではありません。
学ぶ時間がない、教えてくれる人がいない、費用がかかる、何から始めればよいかわからないなど、現実的な壁があります。
だからこそ、リスキリングを語るときには、「学び直せば大丈夫」と簡単に言い切れるものでもないんですね。
コラム:AIで最初に減っているのは「若手の雇用」かもしれない
AIが仕事に与える影響について語るとき、多くの人は「どの職業がなくなるのか」に注目します。
しかし、最近の研究を見ると、問題はもう少し複雑です。
AIによってすぐに職業全体が消えているというより、若手や未経験者が担ってきた入口の仕事が減り始めている可能性があります。
スタンフォード大学デジタルエコノミー研究所の研究では、AIの影響を受けやすい職業において、22〜25歳の若手労働者の雇用が大きく減っていることが示されています。特に、ソフトウェア開発者やカスタマーサービス担当者のような、生成AIが業務の一部を代替しやすい職種でその傾向が見られました。研究では、AIへの露出が高い職業において、22〜25歳の雇用は2022年末から2025年9月までに6%減少した一方、年上の労働者の雇用は6〜9%増えていたと報告されています。
これはアメリカを対象とした研究ですが、日本でも同様の流れが起き出しています。
筆者の実体験:若手が担う業務の難化
実際、筆者もAIによる若者や未経験者の業務内容の変革を肌で感じております。
筆者が想定していた最初の業務は、議事録を書くなどのいわゆる雑務だったのです。
しかし、多くの雑務をAIが代替してくれる今、飛び級のような難しさの仕事を最初からこなさないといけませんでした。
経営陣にとって、若手に任せるよりAIに任せてしまった方が「効率の良い」業務は多いです。
しかし、下の世代が育たない、そもそも不要だという企業も多いと思われます。
特に中小零細だと教育コストにお金をかけられない分、若手よりスキルを持ったベテランを欲する波はしばらく続くでしょう。

AI時代で生き抜く思考法
AI時代に必要なのは、「AIに仕事を奪われるか」と不安になることではありません。
地盤となる思考力も鍛えないといけませんが、鍛え方については以下を読んでみてください。
↓脳筋なタイトルですが、以下もぜひ読んでみてください。↓

大切なのは、AIが何を得意としていて、人間はどこで価値を出せるのかを見極めることです。
AIは、文章を作る、情報を整理する、要約する、表を作る、アイデアを出す、コードを書くなど、多くの作業を高速でこなせます。これまで人間が時間をかけていた作業の一部は、すでにAIで効率化できるようになっています。
AIができることを同じようにやろうとしても、結果的にAIと並ぶだけになってしまう可能性は高いです。それこそ、AIではなくわざわざ人間に頼んでもらえるようには相当なスキルが必要です。
だからこそ、これから必要になるのは、AIと同じ作業スピードで競争することではありません。
AIに任せられる作業は任せ、その結果を判断し、活用し、人間の価値へつなげるかを考えることです。
筆者の思うAIの最も苦手なことは責任を取ること
筆者はAIが最も苦手とするのは「責任を取ること」だと思っています。
AIが出した答えによって問題が起きたとしても、AI自身が謝罪するわけではありません。損害を補償するわけでもありません。社会的な信用を失うわけでもありません。最終的に責任を負うのは、AIを使った人間や企業です。
このことを考えるうえで、分かりやすい例が自動運転です。
自動車運転で見るAIの弱点
自動運転技術は、以前から大きな期待を集めてきました。交通事故の削減、ドライバー不足の解消、移動弱者の支援など、社会的なメリットは大きいとされています。日本でも国土交通省は、自動運転を人手不足や交通事故削減、地域公共交通の課題解決につながる手段の一つとして位置づけています。
しかし、完全に人間の関与なしで広く普及しているとは言えません。日本のレベル4自動運転も、2025年11月時点で実装地域は9か所にとどまっています。 また、2026年1月に始まった柏市でのレベル4自動運転バスの運行も、走行距離は700mで、運転席には乗務員が乗車する形です。
これは、技術が進んでいないからではありません。それでも「事故が起きたときに誰が責任を取るのか」が難しいからです。
AIが車を運転していたとしても、事故が起きれば被害者が出ます。そのとき、責任を負うのは車なのか、運転者なのか、自動車メーカーなのか、システム開発会社なのか、サービス事業者なのか。この責任の所在が曖昧なままでは、社会に広く受け入れられにくいのです。
AI時代に生き抜く人は、「AIを避ける人」ではなく、「AIを前提にして考えられる人」です。
ではAIを前提とした考え方とはどのようなものでしょうか。
AIと協力して人間ができるところにより多くの時間を
AIと協力するとは、自分の仕事をすべてAIに丸投げすることではありません。
人間が担う部分とAIに任せる部分を分けることです。
たとえば、AIには情報整理、文章の下書き、アイデア出し、比較表の作成、コードのたたき台づくりなどを任せます。
一方で、人間は目的を決める、条件を整理する、出力を確認する、相手に合わせて調整する、最終判断をする役割を担います。
最終判断が人間だからこそ、それで大丈夫かを人間が判断しなくてはなりません。
このように役割分担をすると、AIは人間の仕事を奪う存在ではなく、仕事の質と速度を上げる補助役になります。
重要なのは、「AIに何をさせるか」を自分で設計することです。
あくまで責任は人間が取るというスタンスから大きく離れることは今後もないでしょう。
AIをうまく使える人は、AIに答えを聞くだけではありません。目的、前提条件、必要な形式、判断基準を伝えたうえで、AIから使える結果を引き出します。
AIに教える仕事も新しく誕生している
AIを使いこなすうえで重要になるのが、AIに教える力です。
こちらの指示が曖昧だと、曖昧な答えを返します。逆に、目的や条件を具体的に伝えると、出力の質は大きく変わります。

たとえば、ただ「文章を書いて」と頼むよりも、「ブログ向けに、専門用語を減らして、読者が不安になりすぎないように、AI時代の働き方について書いて」と伝えた方が、目的に合った文章が出やすくなります。
これは、AIに対して「何をすべきか」を教えている状態です。
AI時代には、このようにAIへ適切な指示を出し、望む結果を引き出す力が重要になります。いわゆるプロンプトエンジニアリングと呼ばれる考え方です。
また、AIに教える仕事は、プロンプトを作ることだけではありません。
たとえば、教師あり学習のための教材を作る仕事もあります。教師あり学習とは、AIに「この入力に対して、正解はこれです」と教える学習方法です。人間で言えば、問題集と模範解答を使って学ぶようなイメージです。
たとえば、迷惑メールを判定するAIであれば、たくさんのメールに対して「これは迷惑メール」「これは通常のメール」とラベルを付けます。画像を判断するAIであれば、「これは犬」「これは猫」「これは車」といった正解データを用意します。
このように、AIが学習するためのデータを整理したり、正解ラベルを付けたり、間違ったデータを修正したりする仕事があります。
つまり、AIに教える仕事とは、AIに質問するだけの仕事ではありません。
AIが正しく学べるように、良い教材を作る仕事でもあります。
企業でAIを導入する場合でも、AIを入れれば自動的に精度が上がるわけではありません。業務に合ったデータを集め、正解例を用意し、AIが間違えやすいパターンを見つけ、改善していく必要があります。
たとえば、問い合わせ対応AIを作る場合、過去の問い合わせ内容と、それに対する適切な回答例を整理します。
採用書類を分類するAIであれば、どの書類をどの分類に入れるべきか、人間が基準を作ります。
不良品を検知するAIであれば、正常な製品と不良品の画像を集め、それぞれに正しいラベルを付けます。
AIは、何もないところから勝手に正しい判断基準を持つわけではありません。人間が用意したデータや基準をもとに学習します。だからこそ、AIに何を正解として教えるのかが重要になります。
これからは、AIそのものを開発する人だけでなく、AIに学ばせるための教材を作る人、AIの回答を評価する人、業務に合う判断基準を設計する人の価値も高まっていくと考えられます。
AIに教える力とは、言い換えると、自分の知識や判断基準を整理して、AIが理解できる形に変える力です。
AIに的確な指示を出し、AIが学ぶための材料を整え、出てきた答えを確認し、自分の目的に合う形へ修正できる人。
今後求められる人材はそのような人だと思います。
終わりに
AI時代に大切なのは、AIに勝つことではなく、AIをどう使いこなすかです。
AIに任せられる作業は任せ、人間は判断、責任、コミュニケーション、創造性といった部分で価値を出していく必要があります。
また、AIを使うだけでなく、AIに指示を出す力や、AIが学ぶための教材を作る力も重要になっていきます。
これからの時代に求められるのは、AIを恐れることではなく、AIと協力しながら自分の役割をアップデートしていく姿勢なのだと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
皆様がAIを使うにあたって参考になる部分があれば嬉しいです。

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