AIで仕事がなくなるかもしれない。筆者も、その不安を感じながら働いた経験があります。ただ、数字を大きさだけで受け止めると、「技術的にできること」と「実際に雇用が変わったこと」が混ざります。まず、その違いから考えます。
「47%」は、実際に失われた仕事の割合ではない
FreyとOsborneの2013年の研究は、米国の702職業についてコンピューター化への影響の受けやすさを推定し、雇用の約47%を高リスクに分類しました。生成AIの普及後に47%の人が失業したという調査ではありません。研究論文
国、対象職業、技術の前提が変われば、同じ数字を当てはめることはできません。旧版の「49%」という見出しと、47%がそのまま仕事を奪われる割合であるかのような説明を訂正しました。
生成AIの影響も「職業」と「作業」を分ける
ILOの2025年の評価は、世界の労働者の約4人に1人が、何らかの生成AIへの曝露がある職業にいるとしています。ここでの曝露は技術の影響を受ける可能性であり、失業の実測値ではありません。人の関与が必要な作業も多く、仕事の変容を重視しています。ILOの研究概要
総失業率が横ばいでも、特定の職種や年齢層の負担は見えない場合があります。反対に、ある企業が採用を減らした事例だけから、全体の原因をAIに決めることもできません。AIの影響を調べるには、導入状況や他の経済条件との区別が必要です。
筆者の経験:入口の仕事が変わったと感じた
筆者は、最初は議事録などの業務から担当すると想像していました。しかし実際には、AIがそうした作業の一部を担う中で、想像より難しい業務に取り組むことになりました。自分には、段階を飛ばして学ぶような感覚がありました。
これは筆者の職場での経験です。日本全体で若手の仕事が同じように変わったことを証明するものではありません。ただ、「完成した成果物が早く手に入ること」と「自分が作り方を理解すること」を別々に確保する必要を考えるきっかけになりました。
自分の仕事を3つに分けてみる
以下は、業務を見直すためにこの記事で作った整理例です。実際の導入は職場のルールと利用できる情報の範囲に合わせます。
下案を作る作業:公開資料の要点整理、文章の構成案など。
人が照合する作業:引用元との一致、数値、条件、例外の確認。
判断・合意する作業:何を目的にするか、相手と何を約束するか、誰が承認するか。
議事録なら、文章が自然かだけでなく、決定事項・保留事項・担当・期限を元の記録と照合します。AIがそれらを推測で埋めていないかを確認する役割が残ります。機密情報や個人情報を、許可のないサービスへ入力しないことも前提です。
学び直しは、確認できなかった点から決める
「AIを勉強する」では範囲が広すぎます。先ほどの確認で困った点を一つ選びます。数値の意味が分からなければ集計方法、コードの意図が読めなければ命名や処理の順番、といった具合です。
完成した答えを読むだけでは理解を確かめにくいので、資料を閉じて説明し、元の資料に戻ります。アクティブリコールの手順は、この確認にも使えます。
責任と役割は、先に決めておく
筆者は、AIの出力を採用する際に、確認や承認の担当を明確にすることが大切だと考えています。これは職場の運用についての提案です。事故や損害の法的な責任は状況によって異なるため、「必ず利用者だけが責任を負う」と一括りにはできません。
AIに対する不安を、根拠のない楽観で打ち消す必要はありません。自分の業務で何が変わり、どこを学ぶ必要があるかを具体化する。筆者はそこから、自分の役割を考え直したいと思っています。


コメント